武蔵村山病院 総合診療医育成プログラム

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「総合診療医」を志す医師諸君 来たれ!

プログラム責任者より 鹿取 正道

 65歳以上の高齢者は、「団塊の世代」が75歳以上を迎える2025年まで爆発的に増加し、2042年にピーク(3,742万人)を迎えると推計されています。高齢者は医療需要が高い世代ですから、これからの医師にとって高齢者診療はますます重要となります。高齢者の特徴は、多疾患に罹患していること、多種類の薬を服薬していること、生活自立度が多様であることです。高齢者の診療に際しては、多疾患を俯瞰して診療する能力(臓器別診療ではなく)、疾患の優先順位をつける能力(統合性)、医療のみならず介護・福祉に精通する能力、他職種と連携・協働する能力などが求められます。「総合診療医」は、病院または地域の診療所で、これらの多彩な能力を駆使して、地域包括ケアシステムを第一線で支える医師として期待されています。

◯北多摩西部二次保健医療圏とは
武蔵村山病院・東大和病院が位置する当医療圏(人口64万人)は、巨大都市東京都にありながら島部を除くと都内で10万人あたりの病院数、医師数が最も少ない都市郊外型医療圏です。特に医療圏北部の武蔵村山市、東大和市は人口15万人を抱えながら、200床以上の病院は当2病院と国立村山医療センター(整形外科にほぼ特化)のみで、武蔵村山病院は地域中核急性期病院、東大和病院は超急性期病院としての役割を担っています。

 当プログラムの基幹施設である武蔵村山病院は、common diseaseを中心に、外来・入院診療をおこなっている総合診療内科や小児科、産婦人科など19標榜科を有する総合病院です。当院は、東京にありながら島部を除くと都内で10万人あたりの病院数・医師数が最も少ない医療圏(北多摩西部二次保健医療圏)に位置し、社会医療法人財団 大和会に属しています。大和会は、当院のほかに、急性期医療を中心に診療する東大和病院(救急搬送数は5,400件/年)、3,500件/年もの訪問診療を行う村山大和診療所のほか、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、地域包括支援センターを抱え、「ゆりかごから墓場まで」の医療・介護について、当該医療圏全体(約20万人)を一貫して支えています。大和会中心に研修することで、医療・介護のそれぞれの視点で俯瞰することも容易であり、総合診療医の研修としては重要な環境と考えています。救急医療研修では、当該医療圏最大の高度急性期病院である、国立病院機構 災害医療センター 救急救命センターにて、3次救急医療を中心に総合診療医の救急研修を行います。

 一方、当研修プログラムでは、北海道と静岡県の2つの異なるへき地での総合診療専門研修を含んでいます。むかわ町国民健康保険穂別診療所は、北海道東胆振医療圏に属し、むかわ町穂別地区2,700名の日常診療を支え、また地域の特別老人ホームや障害者施設などの訪問診療、小中高校の検診事業などを手がけています。西伊豆健育会病院は、静岡県賀茂医療圏のへき地にて27年にわたり、救急医療から在宅医療まで一貫した質の高い地域医療を提供し続けている、日本有数のへき地医療拠点病院です。インターネットを通じて全国各地の病院とカンファレンスを行うなど、先進的な取り組みの中で特色のある研修を行っています。各医療圏の、個別の環境での研修を通し、総合診療医の幅広い職務(福祉・保健・予防医学等を含む)を研修することが可能です。

 3つの異なる医療圏での4年間の研修を通じて、総合診療医に必須である資質・能力を獲得するのが目標です。将来、様々な疾病を横断的に診療する医師を目指して、一緒に学びませんか?
[略歴]
北海道大学医学部(1991年卒)/北里大学医学部大学院博士課程修了(移植外科学)/The Dumont-UCLA Transplant Center,UCLA 研究員/北里大学東病院外科(肝胆膵)研究員/(財)癌研究会癌研究所病理部 嘱託研究員 レジデント/日本プライマリケア学会連合会認定医・指導医



  1. 当院の総合診療医研修の3つの特色

    • 3つの異なる地域背景をもつ医療圏での質の高い総合診療医研修ができること。
    • 医療から介護・福祉;保健に至るまで幅広い視点での総合診療医研修が期待できること
    • 4年間を通じて切れ目なく、1次から3次までの救急医療を経験できること。

    の3点にまとめることができます。
  2. 研修目標

    • 総合診療専門研修を通じて、総合診療医の存在意義である7つの資質・能力(患者中心の医療・ケア、包括的統合アプローチ,一般的な健康問題に対する診療能力、連携重視のマネジメント、地域指向アプローチ、公益に資する職業規範、診察の場の多様性)について充分理解し、可能な限り実践すること。
    • Common diseaseに対する正確な疾患理解と適切な初期対応・継続的な診療をおこなうための知識・技術を獲得すること
    • 病病連携・病診連携・医療介護連携など様々な層の連携を理解し、医療の場で実践すること
  3. 以上3点の資質を有する、理想的な総合診療医に到達するために、自らの弱点・欠点を省察し、それを克服すべく方策を立案し、自己学習するための方法・手段を獲得します。

  4. 研修期間を通じて行われる勉強会・カンファレンス等の教育機会

    • 日本プライマリケア連合学会主催の春季・夏季・秋季・冬季セミナーへの出席
    • 他総合診療研修PGとの合同カンファレンス(毎月:立川相互病院)
    • 定期的なTV会議システムによるカンファレンスへの参加
    • (プライマリー・ケアレクチャー、プライマリー・ケアカンファレンス)
    • ポートフォリオ勉強会や作成指導など
    • 武蔵村山市主催の地域多職種研修会(年2回)
    • 大和会 糖尿病地域多職種症例検討会(年2回)
    • 日本プライマリケア連合学会や日本医師会生涯教育が実施しているe-learningの利用
  5. 基幹病院・連携施設

    研修は、以下の6施設で行います。
    • 武蔵村山病院
    • 東大和病院
    • 健育会 西伊豆健育会病院
    • むかわ町国民健康保険 穂別診療所
    • 独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター
    • 東大和ホームケアクリニック
  6. 専門研修基幹施設

    武蔵村山病院内科が専門研修基幹施設となります。

    武蔵村山病院(病床数300床)

    武蔵村山病院内科が専門研修基幹施設となります。 急性期病棟 144床、回復期リハビリテーション 52床、地域包括ケア病棟 52床、療養病棟 52床のケアミックスで、15診療科を有する地域の中核病院です。 当プログラムの基幹病院であり、総合診療専門研修Ⅱの1年間、小児科研修の4ヶ月、およびその他の領域研修4ヶ月を行います。年間1600台の救急搬送数を有する二次救急施設でもあり、総合診療医を目指す研修先としては理想的な環境にあります。

    専門研修連携施設

    本研修プログラムの施設群を構成する専門研修連携施設は、以下の通りです。
    全て、診療実績基準と所定の施設基準を満たしています。

    東大和病院(急性期284床)

    東京都災害拠点病院として、ICU/CCU 5床、HCU 14床、SCU 12床により北多摩西部二次保健医療圏北部の急性期医療を支えています。24科を有し、主に24時間CAG対応可能な循環器センター、消化器センター、SCUを中心とした脳卒中・脳神経センター(東京都脳卒中急性期医療機関)・呼吸器センター、腎・泌尿器系センター、整形外科センターなどを擁し、救急搬送数は年間5,300台を超え、地域の救急医療にも貢献しています。 当プログラムでは内科研修(10ヶ月)を行います。

    健育会 西伊豆健育会病院(病院病床:78床)

    25年にわたり仲田和正院長を中心に静岡県西伊豆地域のへき地医療を支えてきた日本有数の病院です。救急医療から在宅医療までの一貫した質の高い地域医療を提供し続けていること、定期的なカンファレンスの継続(インターネットを通じて全国各地の病院とカンファレンスにて交流)、および長年にわたり地域医療研修医を受け入れており、地域医療の研修病院としては非常に実績があります。 当プログラムでは総合診療専門研修Ⅰの6ヶ月を行います。

    ◯西伊豆とは
    静岡県の伊豆半島に位置し、西伊豆町と松崎町をあわせて15,000人の医療圏。静岡県でへき地に指定されており、医療過疎地域である。

     

    むかわ町国民健康保険穂別診療所(有床診療所:19床)

    19床のベッドを持つへき地診療所で、穂別地区唯一の医療機関として地域の福祉と連携し、地域包括ケアを実践しています。年齢、性別、科を問わず診る“総合診療“体制で診療しています。また、入院治療、訪問診療、訪問看護、保育所や学校の検診、福祉施設の回診、予防接種活動など、地域に密着した医療活動を行っています。当プログラムでは総合診療専門研修Ⅰの6ヶ月を行います。

    独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター(455床)

    院内集中治療室 16床、救急救命センターICT 34床を有し、国内の災害時における患者の収容や患者の広域搬送や診療を担うとともに、平時は、地域中核病院としての機能を有する広域災害医療の基幹施設。当プログラムでは3次救急を含む救急研修を行います。

    東大和ホームケアクリニック(在宅診療)

    在宅サポートセンター(9事業所を有する)の一部で、東大和市、武蔵村山市および周辺地域のみなさま、介護老人保健施設を利用されている患者さま、利用者さまに、大和会在宅部門としてサポートを行う診療所。「まちづくり」「地域包括ケア」の観点から、市役所、医師会との連携をはかっています。

  7. ローテーションのスケジュールと期間

  8. 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
    1年目総合診療専門研修 II(武蔵村山病院)
    2年目救急科
    (災害医療センター)
    小児科
    (武蔵村山病院)
    内科
    (東大和病院)
    3年目総合診療専門研修 I
    (西伊豆健育会病院)
    総合診療専門研修 I
    (むかわ町国民健康保険穂別診療所)
    4年目内科
    (東大和病院)
    在宅
    (東大和ホームケアクリニック)
    その他
    (武蔵村山病院)

  9. 指導スタッフ

    ◯日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医
     (武蔵村山病院 1名、西伊豆健育会病院 2名)
    ◯日本内科学会総合内科専門医
     (武蔵村山病院 3名、東大和病院 12名、西伊豆健育会病院 2名)
    ◯日本救急医学会専門医
     (災害医療センター 3名、西伊豆健育会病院 3名)
    ◯日本小児科学会専門医
     (武蔵村山病院 5名)

  10. 研修評価方法

    評価方法
    • 研修手帳の記録及び定期的な指導医との振り返りセッションを定期的に実施する(頻度:月1回)
    • 経験省察研修録(ポートフォリオ)作成の支援を通じた指導を行う;下記に3年間の作成の目安を記した。
       ●総合診療専門研修Ⅱ(詳細型 10症例、簡易型 5症例)
       ●総合診療専門研修Ⅰ(詳細型 5症例、簡易型 3症例)
       ●内科(簡易型 6症例)
       ●救急科(詳細型 1症例、簡易型 3症例)
       ●小児科(詳細型 1症例)
       ●在宅診療(詳細型 1症例)
       ●その他の領域(詳細型 2症例、簡易型 3症例)
    • 作成した最良作品型ポートフォリオの発表会を行う
       ●総合診療専門研修I,II: 3ヶ月に1回(計6回)
        参加者の範囲:医師、看護師、薬剤師、MSWなど
       ●救急科・小児科・在宅・その他:各1回(計4回)
        参加者の範囲:医師、看護師、薬剤師、MSWなど
    • 実際の業務に基づいた評価(Workplace-based assessment)を定期的に実施する
      ・総合診療専門研修I,IIでの、チャートカンファレンス(Case-based discussion)(連日)
      ・短縮版臨床評価テスト(Mini-CEX)等を利用した診療場面の直接観察
    • 多職種による360度評価を各ローテーション終了時等、適宜実施する
    • 年に複数回、他の専攻医との間で相互評価セッションを実施する
    • ローテート研修における生活面も含めた各種サポートや学習の一貫性を担保するために専攻医にメンターを配置し定期的に支援するメンタリングシステムを構築する
    • メンタリングセッションは数ヶ月に一度程度を保証する

    総括的評価
    • 総合診療専門研修Ⅰ・Ⅱの研修終了時には、研修手帳に専攻医が記載した経験目標に対する自己評価の確認と到達度に対する評価を総合診療専門研修指導医が実施する。
    • 内科ローテート研修において、症例登録・評価のため、内科領域で運用する専攻医登録評価システム(Web版研修手帳)による登録と評価を行う。研修終了時には病歴要約評価を含め、技術・技能評価、専攻医の全体評価結果を内科指導医が確認し、総合診療プログラムの統括責任者に報告する。
    • 3ヶ月の小児科の研修終了時には、小児科の研修内容に関連した評価を小児科の指導医が実施する
    • 3ヶ月の救急科の研修終了時には、救急科の研修内容に関連した評価を救急科の指導医が実施する
  11. 研修修了認定

    以下の基準でプログラム統括責任者はプログラム全体の修了評価を実施する

    • 研修期間を満了し、かつ認定された研修施設で総合診療専門研修ⅠおよびⅡ各6ヶ月以上・合計18ヶ月以上、内科研修12ヶ月以上、小児科研修3ヶ月以上、救急科研修3ヶ月以上を行っており、それぞれの指導医から修了に足る評価が得られている
    • 専攻医自身による自己評価と省察の記録、作成した経験省察研修録(ポートフォリオ)を通じて、到達目標がカリキュラムに定められた基準に到達している
    • 研修手帳に記録された経験目標が全てカリキュラムに定められた基準に到達している。なお、研修期間中複数回実施される、医師・看護師・事務員等の多職種による360度評価(コミュニケーション、チームワーク、公益に資する職業規範)の結果も重視する
  12. プログラム終了時の取得可能な資格

    一般社団法人日本専門医機構「総合診療専門医」専門医試験受験資格

研修医インタビュー

救急疾患や在宅からcommon diseaseまで 幅広い経験ができます
研修医3年目 遠武 孝章

 私が総合診療医を目指したきっかけは実家が内科・小児科で開業しており、小児から成人までの医療に携わりたいと思ったからです。

 なぜこの病院を選んだのかと言うと、一つは東京で家庭医専門医を取得出来る、数少ない市中病院であることが挙げられます。大学病院では、医局間でのしがらみや転勤も多く、自分には合っていないと考えたからです。もう一つは、病院全体の雰囲気が良いことが挙げられます。病院見学の際にも鹿取院長をはじめ、各部署の方々が今後の展望についてとても親身に相談に乗ってくださり、感銘を受けました。病棟看護師の方々も、気さくに話かけていただいて、人見知りな自分ではありますが、とても助けられたのを覚えています。

 私は当院に入局して3年目になります。

 1年目は、週1回の外来と病棟管理を中心に行い、途中から週1回の訪問診療も行います。その他、週1回の救急当番と内科当直があります。

 病棟管理している患者さんは肺炎から心不全や膠原病、不明熱までみることが出来ます。

 はじめは何をしたらいいのか分からず、戸惑うことも多かったですが、外来では患者さんごとに、指導医の鹿取先生に相談をすることが出来、大変勉強になりました。病棟管理においても御指導をいただき、病棟看護師さんのお力添えもあり、少しずつですが成長した結果、最終的に主治医を任せていただけるようになりました。

 2年目は、小児科研修では、内科とはまた違った新鮮さもあり、慣れない部分もありましたが、先生方に手厚くサポートしていただき、楽しく勤務をさせていただきました。引き続き、西伊豆病院や災害医療センターでの研修など、色とりどりの研修をさせていただく予定です。

 このように小児から大人まで、common diseaseから救急疾患までを診ることが出来る当院の教育プログラムは素晴らしいものとなっています。是非一緒に頑張りましょう。

後期研修
(新専門医制度)

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