膀胱にできる悪性腫瘍で、通常、膀胱粘膜から発生します。血尿で見つかることが最も多いため、血尿を見たときは膀胱がんの鑑別が必要となります。喫煙者の方に膀胱がんが発生しやすいことが分かっています。また特殊染料(ベンチジンなど)への暴露も原因になると言われています。
悪性度や進行度、転移の有無によって治療方針が決定されますが、手術でがんを取り除くことが治療の基本となります。「早期がん」の場合は、内視鏡手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で治療します。
一方、筋層や漿膜に及んでいる「浸潤性がん」では、膀胱を摘出する手術や化学療法などの治療が必要です。
手術の目的は、膀胱内の腫瘍を切除することと、切除したものを検査に提出して、膀胱がんの悪性度や深度を調べることです。つまり、膀胱がんの治療であるとともに、大事な検査でもあります。この結果を元に、その後の治療方針を決定します。
手術は、基本的に全身麻酔で行います。尿道口より膀胱鏡を挿入し、膀胱腫瘍を切除ループで切除します。
この際、腫瘍や膀胱壁の血管も一緒に切れて出血するので、これも切除ループで止血します。手術後は尿道カテーテルを挿入し、生理食塩水で膀胱内を潅流します。
膀胱をすべて摘出する手術です。進行がんが適応となります。
膀胱全摘術を施行すると、尿の通り道を作り変える必要があります(尿路変更術)。