腎臓は、尿を造る臓器です。その他に血圧の調節、ビタミンDの活性化、造血ホルモンの生成などにも関わっている臓器です。腎臓がんは、腎臓の中の尿細管の上皮細胞から発生すると考えられています。
早期では無症状で、人間ドックの腹部超音波検査や、他の病気で精査中に偶然発見される場合が増えています。進行すると血尿、疼痛、腹部腫瘤、骨転移による病的骨折や、肺転移による咳や血痰などの症状を認めることがあります。
腎臓がんに対する治療は、ステージやリスクの分類に応じた標準治療を基本とし、年齢や体の状態などを総合的に検討し決めていきます。
腎細胞がんにおいて手術治療は最も有効な治療方法となり、第1選択となります。転移がない場合は、手術治療により根治を目指すことができます。
腎周囲の脂肪組織も含め、腎臓を全て取り除く術式です。片側の腎臓を摘出しても、残った腎臓が正常に働いていれば、日常生活に支障をきたすことはありません。
がんが生じている部分のみを部分的に切除する方法です。残った腎臓の機能を温存できるという利点があります。主に4cm以下の小さながんの場合に選択されますが、がんの位置などによっては選択できない場合があります。
術中の出血や術後の痛みを可能な限り少なくし、患者さまの身体的負担を軽減するために行います。当院では、腹腔鏡下手術とロボット支援手術を行っています。
転移性腎細胞がんの患者さまに対して、がん細胞に特有な蛋白質・シグナルを標的とすることで、「がん細胞のみを壊して、正常細胞を傷つけない」という治療です。
従来の抗がん剤とは異なり、がんを攻撃するT細胞を活性化させ、がん細胞を排除する治療です。