前立腺肥大症

 前立腺は、膀胱と陰茎の間に位置する男性固有の器官で、精液の一部を作る働きを持っています。年齢とともに肥大した前立腺が尿道を圧迫し、さまざまな排尿症状をきたす疾患を「前立腺肥大症」といいます。前立腺肥大症は年齢と深い関係にあり、40・50代で症状が出始め、60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿や排尿困難を訴え、65歳前後で治療を開始する人が多くなります。前立腺肥大症がさらに悪化すると尿閉(尿が全く出なくなる)、膀胱結石、細菌感染、腎機能障害をきたすこともあります。

前立腺肥大症の検査

前立腺肥大症には下記のような検査があります。

  1. 自覚症状の評価
  2. 直腸診
  3. 尿検査
  4. 尿の勢いの検査
  5. 残尿測定
  6. 超音波検査
  7. PSA検査
これらから、総合的に判断し治療方針を立てていきます。

前立腺肥大症の治療

前立腺肥大の治療には、内科的治療(薬物療法)と外科的治療があります。一般的に軽症の方には内科的治療を行い、薬物療法に効果のない方には外科的治療を行います。

内科的治療

 α1ブロッカー、PDE5阻害剤、5α還元酵素、抗男性ホルモン剤、抗コリン剤、抗ムスカリン剤、漢方などが用いられます。

外科的治療

 経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)、温熱療法、尿道ステントなどがあります。


 尿道から内視鏡を挿入し、ホルミウム・ヤグレーザーというレーザー光線を用いて、肥大した前立腺の腺腫を切除します。手術は全身麻酔で行い、手術時間は約1~2時間です。腺腫を核出する手術方法のため、出血や再発が少ない点も優れた特徴です。手術後は先端に風船の付いた管(カテーテル)を挿入します。尿はカテーテルを通して外に自然に出ます。血尿でカテーテルが詰まらないように生理食塩水を膀胱内に流して血尿を薄くします。カテーテルは術後3日目に抜く予定です。血尿が続く場合などには抜去を遅らせることがあります。


 ループ状の電気メスを装着した内視鏡を尿道から挿入して、肥大した前立腺組織(腺腫)を尿道粘膜とともに切り取る手術です。手術は全身麻酔で行い、手術時間は約1~2時間です。手術後は先端に風船の付いた管(カテーテル)を挿入します。尿はカテーテルを通して外に自然に出ます。血尿でカテーテルが詰まらないように、生理食塩水を膀胱内に流して血尿を薄くします。カテーテルは術後3日目に抜きますが、血尿が続く場合などには遅らせることがあります。