低侵襲ロボット支援手術は、腹腔鏡手術と同じようにいくつかの小さな切開部を作り、外科医の操作にしたがって内視鏡・メス・鉗子を動かして行う、患者さまの負担が少ない内視鏡手術です。

ダビンチ(da Vinci)サージカルシステム

ダビンチとは

ダビンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下、人間の手の動きを正確に再現する装置です。
術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具(鉗子)を使用し、精密な手術を行うことができます。
ロボット支援手術は完全に医師の操作によって実施されます。

patient_cart

ペイシェントカート

ロボットアームを4本持ち、1本には高精細3Dカメラ、残りの3本には、手術を行う器具が取り付けられます。医師の指示に忠実に操作を行います。ロボットの手先は米粒をつまめるほど小さく、複雑な操作が可能です。

vision_cart

ビジョンカート

医師に提供する3D画像の処理や分析を行う重要なコントロールセンターです。上部のモニターには、手術中の映像が映し出され、スタッフに手術の進行状況を共有します。

surgical_controls

サージョンコンソール

ダビンチの操縦席。高解像度の映像を処理し、医師は3D画像を見ながら、手元のコントローラーを操作して緻密な手術指示を送ります。

ロボット支援手術のメリット

Cursuri

体への負担が少ない

数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、出血も抑えられ、手術後の回復が早く、患者さまの負担が軽減されます。

Cursuri

確実性

コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。カメラも自在に操作できるため、今まで見ることができなかった場所まで自由に見て確認しながら手術を行うことができます。

Cursuri

精密な動きを再現

医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。ダビンチの鉗子はリスト構造を持ち、人間の手より大きな可動域と手振れ補正機能を備えており、骨盤の中などの狭い空間でも繊細な動作が可能です。

ロボット支援手術のデメリット

ロボット支援手術はアームに装着されている鉗子やメスで行うため、触覚がありません。視覚で補う必要があり、開腹手術より広い視野が必要となります。しかし、大和会ではより確実・安全な手術を提供できるよう十分なトレーニングを行い、認定資格を取得した医師が手術を行います。
その他、過去の手術で癒着が強い場合などはロボット支援手術を行えない場合があります。

対応疾患

武蔵村山病院 泌尿器科で対応する疾患

前立腺がん(ロボット支援根治的前立腺全摘除術:RARP)

Flexible

前立腺は骨盤の一番下の狭い場所にあり、外から観察することが困難です。そのため、これまでは手術中の視野と操作性の悪さが手術を難しくしていた原因となっていました。しかし、ダビンチでは細いカメラを挿入することで見えにくい部位を容易に観察できるようになり、他の臓器を傷つけることが少なくなりました。また、細い手術用鉗子なら狭い場所の手術手技も可能となります。人の目で見るよりも広い視野で、人の手よりも小さい鉗子で、人の手よりも正確に手術を行うことができます。ただし、前立腺がんに対する前立腺摘出術の場合、重度の心疾患や緑内障の既往がある方は、手術を受けることができません。

腎臓がん(ロボット支援腎部分切除術:RAPN)

Flexible

腎臓がんのうち、「長径が小さく、転移がない」方がロボット支援腎部分切除術の対象となります。
通常の腹腔鏡手術鉗子と異なり、人間の手の関節以上に自由度の高いロボット鉗子を用いることで、腹腔内での精密な切開や正確な縫合を素早く行うことが可能です。傷口が小さいため術後の痛みは少なく、腎臓機能温存につながります。また、正確な縫合は、再出血や腎臓右周囲への尿漏出などの術後合併症を軽減させると考えられます。

東大和病院 消化器外科で対応する疾患

直腸がん(ロボット支援直腸切除術:RARS)

結腸がん(ロボット支援結腸切除術:RACS)

Flexible

大腸は長さ1.5〜2mほどの臓器で、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸に分かれます。現在これらの大腸がんに対して腹腔鏡手術を行っている施設が多くありますが、腹腔鏡手術の特性上、熟練の外科医でも鉗子のふらつき(手ぶれ)が生じてしまいます。手術支援ロボットには手ぶれ補正機能があるため、鉗子のぶれが少なくより精緻な手術が可能です。また直腸は骨盤内の奥深くに位置する臓器で、腹腔鏡手術などの直線的な鉗子操作では時に手術に難渋することがあります。ロボット支援手術の利点として多関節機能を持つ鉗子があり、この鉗子はどの方向にも曲げることができるため、人間の指よりも繊細な作業が可能です。そのほかロボット支援手術の利点として骨盤内の狭い空間にある病変を拡大視できます。さらにロボット支援手術の画像は3Dのため拡大して立体視もでき、温存したい直腸周囲の自律神経がはっきり見ることができ、腹腔鏡下手術と比べると神経の機能温存がより可能になります。

メッセージ

Flexible

武蔵村山病院 泌尿器科 科長
松田 大介

より正確に、より繊細に、より安全に

 手術支援ロボット「ダビンチXi」を用いた前立腺がん・腎がん手術を行っています。
 ダビンチXiは、最新の手術支援ロボットです。ダビンチ手術は、従来行われてきた腹腔鏡手術が持つ“傷が小さく、低侵襲である”というメリットはそのままに、動作・視野制限・手ぶれといった腹腔鏡手術の欠点を解消した最新の手術方法です。
 サージョンコンソール(操縦席)に座った術者が、3Dハイビジョン画像を見ながら、多関節機能と手ぶれ防止機能を備えたロボットを操作することで、より正確な、より繊細な、より安全で合併症の少ない手術を目指しています。
 安心して先進的な医療を受けていただけるよう、万全の体制で取り組んでまいります。


Flexible

東大和病院 消化器外科 科長
室谷 研

ロボット支援手術をより身近な病院で

 大腸がんは男女ともに罹患率が高いがん腫ですが、大腸がんに罹患しても、早い段階で手術をすれば治癒が期待できます。東大和病院 消化器外科では最新の手術支援ロボットであるダビンチXiを導入し、手術を行います。
 ロボット支援手術の利点は、従来の腹腔鏡手術と比較して多関節機能の鉗子、手振れの少ない手術、より精緻な3D画像による拡大視野効果などがあります。
 ロボット支援手術で大腸がんの手術を受けられる方に、より精緻で確実・安全な手術の提供を目指してまいります。

よくある質問

どんな病気でもダビンチで手術することはできますか?
手術が必要となる全ての疾患で、ロボット手術=ダビンチによる手術が行えるわけではありません。武蔵村山病院では前立腺がんと腎がん、東大和病院では直腸がんと結腸がんがロボット支援手術等の対象です。その他の疾患については、今後対応を検討しています。
年齢や病気による制限はありますか?
年齢の制限はありません。高齢の方であっても、開腹手術、鏡視下手術等に耐えられる状況であれば、ダビンチ手術を受けることが可能です。ただし、既往によっては手術を受けることができない場合があります。
リスクや安全性が心配です
ダビンチ手術は患者さまにとって傷口が小さく、術後の負担が小さい低侵襲手術であるという特長がありますので、開腹手術よりは患者さまの負担は軽くなる傾向にあります。また、ダビンチの機械によるシステムエラーの報告はわずか0.2〜0.4%と極めて低いものです。
なぜロボットで手術したほうがいいのでしょうか?
ダビンチサージカルシステムは、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像と、人間の手の動きを正確に再現する装置です。こうした特長により、術者は鮮明な画像の下、精密な手術を行うことができます。ダビンチを利用することで、開腹手術に比べ以下のような利点があります。
  • 正確な切除
  • 神経の機能温存
  • 出血の抑制
  • 輸血の必要性の低減
  • 合併症リスクの低減
  • 傷口の感染リスクの低減
  • より早い回復、日常活動への復帰
ロボットに手術されると考えると少し怖いのですが・・・
ダビンチ手術は、認定資格を取得した医師によって行われる手術です。ロボットは医師の技術をサポートするのが役割。ロボットが行う手術ではなく、医師がロボットを活用し、より精度の高い手術を可能としたのがダビンチ手術です。
手術を受けたい場合はどうしたらいいですか?
ダビンチ手術に関するご質問・お問い合わせは、以下までご連絡ください。

お問い合わせ

ダビンチに関するご質問や手術依頼等について、まずはお電話ください

東大和病院(消化器外科)
患者さま
(東大和病院 代表)
医療関係者の方
(地域医療連携室)
〒207-0014 東京都東大和市南街1-13-12
武蔵村山病院(泌尿器科)
患者さま
(武蔵村山病院 代表)
医療関係者の方
(地域医療連携室)
〒208-0022 東京都武蔵村山市榎1-1-5