
「我慢できず漏れてしまう」「頻繁にトイレに行く」「急にトイレに行きたくなる」
こういった症状はありませんか?
それは「過活動膀胱」かもしれません。

セルフチェックしてみよう!「過活動膀胱症状スコア」
質問1〜4の症状がどのくらいの頻度であったか、「この1週間のあなたの状態」に最も近いものを、各項目ひとつだけ選んでください。
点数の合計で過活動膀胱の重症度を判定します。

過活動膀胱とは?
膀胱に尿をためることができず、頻尿、尿意切迫感(急な尿意)、切迫性尿失禁といった症状がみられる病気で、膀胱の筋肉に異常な収縮が生じることで起こります(図1)。明らかな原因は解明されていませんが、前立腺肥大症、骨盤底筋のゆるみ、肥満、加齢等が関連しているといわれています。

過活動膀胱の治療法
過活動膀胱の治療として、抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬などの内服治療が広く知られています。しかし、効果が不十分であったり、副作用(口渇や便秘など)で薬を継続できないという患者さまに対する治療として、2020年に「ボトックス療法」が保険適応となりました。
「ボトックス療法」とは?
天然のタンパク質「ボツリヌストキシン」から精製された薬を膀胱内に直接注射し、膀胱の筋肉をゆるめる治療法です。膀胱鏡を使用して、異常な収縮を生じている膀胱の筋肉20カ所に薬を注入します(図2、写真)。ボツリヌストキシンがアセチルコリンという神経伝達物質をブロックし、膀胱の筋肉の過剰な緊張をゆるめて収縮を抑えます。
この薬は、過活動膀胱や神経因性膀胱をはじめ、さまざまな疾患の治療薬として世界90カ国以上で認可されています(2022年3月現在)。日本でも、まぶたや顔面のけいれん、しわの治療、正常な姿勢が保てなくなる首や手足の姿勢異常などの治療に使用されています。

※尿路感染症、全身の筋力低下を起こす病気(重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症など)、妊娠中、授乳中、過去にこの治療でアレルギーを生じたことがある方はこの治療を受けることができません。また、副作用により尿が出なくなる可能性(1〜5%)もあるため、自己導尿ができない方も治療対象外となります。
過活動膀胱は命を脅かす病気ではありませんが、症状に悩み、外出を控えるなど生活の質を大きく低下させてしまいます。
少しでも症状を緩和し、ストレスのない日常生活を取り戻してもらいたいと思っております。
武蔵村山病院で治療を行っておりますので、お悩みの方は泌尿器科外来にご相談ください。
この内容は 広報誌 大和会だより「この先生に聞く 泌尿器科シリーズ」に掲載しています!
▶ 141号「過活動膀胱の新しい治療法 〜ボトックス療法で快適な日常を取り戻す〜」
▶ 139号「安全な医療を目指して 〜ロボット支援手術が登場した歴史的背景〜」
▶ 138号「前立腺がんの手術」