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脳卒中を予防する!外科的治療の役割について

東大和病院 脳神経外科 上條 貢司

脳梗塞

 脳梗塞の原因は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などによって血管内に動脈硬化を生じ、その結果血管が狭くなったり、詰まったりすることで脳の血流が悪くなる場合(図4)と、心房細動という不整脈で心臓から血のかたまりが飛んできて血管が詰まる場合(図5)の二つに分かれます。

図4.脳血栓症
図5.脳塞栓症

 前者は「脳血栓症」で、後者は「脳塞栓症」と言います。症状はどちらも突然手足の力が入らなくなったり、痺れたり、ろれつ回りが悪くなったり、また突然物が見えづらくなったりもします。

脳梗塞の急性期治療

 2005年にt-PA(商品名アルテプラーゼ)という血栓(血のかたまり)を溶かす薬剤の使用が我が国でも許可され、t-PAを脳梗塞発症4.5時間以内に静脈内に投与することで、脳梗塞の原因である血栓を溶かし、再開通させることが可能となり、脳梗塞の治療が大きく進歩しました(図6)

図6

 脳梗塞は完成したら基本的に治らない病気ですが、この治療によって発症4.5時間までに来た患者さまであれば、脳梗塞の完成を抑えることが可能となりました。当院でも早期からt-PAを導入し、これまで何人もの患者さまを救ってきました。しかし残念ながら4.5時間を過ぎて来院する患者さまや、4.5時間以内に来られt-PAを使用しても効果の得られない患者さまもいるのが現状です。
 現在、脳卒中学会でも一般の方々に、症状が出たら出来るだけ早く病院を受診するよう積極的な啓蒙活動を行っていますが、現時点ではt-PA投与の対象となる方は全脳梗塞患者の2〜3%程度に留まっているのが現状です。最も重要なのは「脳梗塞になってから治せばいいのではなく、脳梗塞にならないよう予防することが大事!」ということです。


頭痛を含め症状のある方は、脳ドックではなく、脳神経外科、脳神経内科の一般外来を受診ください


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