糖尿病・内分泌内科プログラム

研修施設:東大和病院

  1. 研修プログラムの概要

     我が国において、2型糖尿病や内分泌疾患(特に甲状腺疾患)は、一般内科外来にて最も頻度の高い疾患群に属し、将来どの科を選択するにおいても、その疾患の基本的概念を知り、検査、治療方針を立てることは、非常に重要かつ必須と思われる。従って、1カ月間、専門医2名の指導体制のもと、糖尿病内分泌領域疾患の基本訓練ができるように、指導プログラムを作成した。当院は、脳血管障害、循環器疾患の救急医療に特に力を入れており、そのため、糖尿病などの生活習慣病を背景に持っている患者様が非常に多く、当院にて糖尿病の研修をすることは、豊富な患者様を経験できるという意味において、とりわけ有用であると考える。2016年1月、当科は、日本糖尿病学会教育認定施設の認定を取得。当科での研修は、初期研修としてもふさわしいと考える。当科にてカバーできる疾患は、糖尿病領域(1型糖尿病、妊娠糖尿病などを含む)、代謝領域(脂質異常症、高血圧、高尿酸血症)、内分泌領域(甲状腺疾患、下垂体、副腎、副甲状腺)など非常に幅広く、この領域を専門とする場合は、研修は必須であると考える。

  2. 研修目標

    1. 一般目標
      1. 糖尿病領域
        1. 糖尿病治療は、9種類の経口血糖降下薬(SU薬、グリニド薬、チアゾリジン薬、ビグアナイド薬、DPP4阻害薬、αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1製剤、イメグリミン)、インスリン製剤(中間型インスリン、混合製剤インスリン、超速効性インスリン、持効型インスリン)、GLP-1製剤と非常に多種多彩であり、患者様の病態、社会的背景などを考慮した上、最適な治療を選択する能力が求められる。これらの治療薬の特徴、血糖降下のメカニズムを知識として習得した上で、実践的に使用できるようになることを目標とする。
        2. 脳血管や心臓血管系の障害で入院している患者様や、その他、重症感染症、手術前の血糖コントロールが必要な患者様などの血糖管理をできるようになることを目標とする。
        3. 糖尿病性ケトアシドーシスの治療技術の習得。
        4. 第三者の助けが必要な重症低血糖の治療の習得。
      2. その他の代謝疾患領域
        1. 糖尿病はとりわけ難治性高血圧、脂質異常症を合併している患者様が多く、これらのマネージメントができる知識を習得する。
        2. 痛風;高尿酸血症を背景に、足第1指関節腫脹が典型的である。高尿酸血症の治療の基礎、痛風発作時の治療を習得する。
        3. 動脈硬化性疾患予防のための、動脈硬化評価検査の習得。
      3. 甲状腺疾患の診断と治療
        1. バセドウ病の診断と治療技術の習得。
        2. 慢性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などの炎症性甲状腺疾患の診断と治療技術の習得。
        3. 甲状腺腫の診断と治療。悪性と良性の鑑別法、評価法を習得する。
      4. その他の内分泌疾患の診断と治療
        1. 下垂体機能評価法を習得し、汎下垂体機能低下症などの疾患の診断と治療法を習得する。
        2. 副腎疾患(原発性アルドステロン症、Cushing症候群、褐色細胞腫)の診断と治療法の習得。
        3. 副甲状腺腫瘍の診断と治療法の習得。
        4. 骨粗鬆症の概念を習得し、その評価法、診断、治療法の習得。
    2. 個別目標・具体的目標
      1. 糖尿病領域
        1. 糖尿病再診患者の診療を遅滞なく行えるようになる。血糖管理に留まらず、血圧、体重管理、さらに、簡単な食事療法、運動療法の指示なども行えるようになる。
        2. 各病棟をラウンドし、患者様の病態に応じた血糖管理を行えるようになる。退院に向けて、内服やインスリン治療の変更もスムーズに行えるようになる。
        3. 緊急に糖尿病性ケトアシドーシスの患者様が救急車で来院した場合の対処を迅速に行えるようになる。
        4. 重症低血糖患者様が、救急車で来院した場合に、迅速に低血糖の診断と治療が行えるようになる。
      2. 甲状腺疾患の診断と治療
        1. バセドウ病患者様の外来での内服薬の調整が行えるようになる。
        2. 慢性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などの炎症性甲状腺疾患の外来での内服調整が行えるようになる。
        3. 甲状腺腫の患者様の外来での診察、治療方針が適切に行えるようになる。
  3. 研修方略

    【研修スケジュール】

    1. 糖尿病・内分泌再診外来を週2コマ;糖尿病・内分泌外来を見学し、指導医とともに糖尿病を中心とした生活習慣病に対する治療法を学ぶ。
    2. 糖尿病・内分泌新患外来;新患患者様のアナムネーゼを単独にて聴取した後、指導医とともに、今後の治療方針を決定する。
    3. 他科依頼回診;週1回(水曜午前9時から約2時間)、当院における糖尿病・内分泌内科への他科依頼の患者様のラウンドに参加する。
    4. 糖尿病内科回診;週1回(木曜午後3時から1時間)チャートラウンドに参加する。
    5. 糖尿病サポートチーム(DMST)勉強会、ミーティング(水曜午後3時から1時間)に参加(月1回)する。
    6. 糖尿病入院患者(特に教育入院)を4~8名程度受け持ち、診察、治療方針の決定などを指導医とともに実施する。
    7. 糖尿病教室に参加、指導医の話し方、レクチャーの話の進め方を学び、希望者は、教室の講師を体験する。
    8. 近隣の実地医科の先生方との病診連携を兼ねた糖尿病の研究会に参加(月2回程度)する。
    9. 緊急度の高い疾患(糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖性昏睡)の診療を行い、これらの疾患に対する基本治療方針を習得する。
  4. 研修成果の評価

    特にレポートなどを実施しない方針であるが、新患患者様のアナムネーゼ、入院患者のプレゼンテーション、退院サマリーなどを通じて、指導医による評価を行う。

初期臨床研修

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